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【EMS/ODM】iPhone製造の米国移転、アップル・鴻海とも真剣に検討せず DIGITIMESレポート
2025-04-08 11:35:04
調査会社DIGITIMES Researchは2025年4月8日、米国の相互関税政策がEMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手台湾フォックスコン(FOXCONN=鴻海精密=ホンハイ)に与える影響についてのレポートを公開。フォックスコンの今後のグローバル戦略に決定的な影響を及ぼす要因として、「各国と米国間の交渉結果」、「米アップル(Apple)をはじめとするフォックスコンの主要顧客が、米国と免除協定を成立できるか否か」の2つを挙げた。


レポートは、1988年に中国に工場を設立して以来、フォックスコンが顧客のニーズに応える形で、2000年にはチェコ、2003年にメキシコ、2006年に米国とインド、2007年にベトナムといった具合に、製造のグローバル展開を進めてきたと指摘。規模の大小には差があるものの、競業の台湾系EMS・ODM(Original Design Manufacturer=設計・製造の受託)と比較し、範囲の広さで群を抜いていると評した。

DIGITIMESは、フォックスコンの売上高構成について、スマートフォン等のコンシューマ向け電子機器が依然、全体の約46%を占め、AI(人工知能)サーバー等のクラウドネットワーク機器が30%だと紹介。その上で、クラウドネットワーク機器は米国やメキシコに主力の生産拠点を置いているため、相互関税の影響は比較的軽微だと予想した。これに対し、コンシューマ向け製品は、今回の「関税の重大な被災地」である中国、インド、ベトナムに生産地が集中しているため、優先的に対応が必要な分野になるとした。

DIGITIMESの伝えたフォックスコンに詳しい台湾の業界筋は、相互関税の登場により、フォックスコンがこれまで築いてきたグローバル展開の強みも、一時的に効果を発揮しにくい状況にあると指摘。また、トランプ政権の関税政策は今後も大きな変動の可能性があるため、顧客であるブランド業者や各国政府が米当局による協議の最終的な結果を待つ必要があるとし、フォックスコンもどのような結果が出ても対応できるよう、静かに準備を進めていると述べた。

同筋はまた、フォックスコンの今後のグローバル戦略に決定的な影響を及ぼす要因の1つとして、各国と米国間の交渉結果を挙げ、関税政策や貿易摩擦に関する各国との協議が、米国の最終的な政策実施の規模と範囲に大きく影響すると指摘した。さらにもう1点として、フォックスコンの主要顧客と米国が免除協定を成立できるか否かも、フォックスコンのグローバル戦略に影響してくると指摘。アップル等の主要ブランドが米国当局と従来の免除協定に類似した合意を形成できるかどうかが、製品の最終価格や市場競争力に直結するとした。

同筋は、フォックスコンが世界各地に既に展開している生産拠点の活用を前提に、「被害の大きい地域」と「比較的影響が少ない地域」を見極め、各国間の協議結果が明確になるのを待って、生産体制やサプライチェーンの再編を速やかに進めるだろうと指摘。iPhoneをはじめとするアップル製品では、欧米市場向けはインドやベトナムでの生産比率をさらに引き上げる一方、中国向けは中国で生産することにより、関税の価格転嫁を最小限に抑えるよう努めるだろうとした。

iPhoneの生産ラインを米国に移す可能性について同筋は、現時点では、アップルもフォックスコンもこの選択肢を真剣に検討してはいないと指摘。関税によるコスト増加よりも、移転に伴う追加コストが大きく上回ることを理由に挙げた。

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