CHIPS法についてレポートは、敵対する国々として中国、ロシア、イラン、北朝鮮を挙げ、補助金の受領企業が、授与日から10年間、これら4カ国に対する半導体製造投資を制限していると指摘。さらに、米国以外の国・地域での補助金使用の禁止や、国家安全保障上の懸念を引き起こす技術や製品について、敵対国にある団体との共同研究や技術ライセンス供与の制限を明確化したと紹介した。
また、米国による先端半導体製造装置の対中輸出制限に歩調を合わせるため、日本とオランダが半導体製造装置に関する輸出管理・規制措置を公表したことについて、16nm(ナノメートル)より先進プロセスのみならず、成熟プロセスの40・28nmに使われる深紫外線(DUV)露光装置等の半導体製造装置の対中輸出も制限を受けると分析した。
TrendForceは、上述の状況を背景に、SMIC(中芯国際)等の中国地場系企業はもとより、中国に拠点を置く半導体世界大手の中国における増産計画が、先進、成熟プロセスに関わらず、影響を避けられず、今後10年にわたり中国半導体産業の発展を抑制する恐れがあるとの見方を示した。
中国に拠点を置く半導体世界大手については、TSMCについて、米中両国で増産計画を持っていることから、CHIPS法で最大の影響を被る業者になると指摘。輸出許可の申請に時間がかかるため、対中投資計画の調整を迫られる恐れがあるとした。
これに対し、成熟プロセスが主力のファウンドリである台湾VIS(世界先進)、台湾PSMC(力積電)については、中国に生産拠点がないため、CHIPS法の恩恵を受ける業者になるとした。
この他、中国に拠点を置くメモリ世界大手に与える影響については、DRAM世界上位3社のうち、中国にDRAM製造拠点を抱えるのは韓国SKハイニックス(SK Hynix)1社のみだと指摘。その上でSKハイニックスについて、韓国に新工場を置く形で、生産能力全体に中国(江蘇省無錫工場)の占める比率を現行の48%から44%にまで減らす見込みだと指摘した。また、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)と米マイクロン(Micron)の増産計画が韓国と米国に集中していることも加わり、DRAMの総生産能力に韓国の占める比率が向上するとした一方、中国のシェアは23年の14%から25年には12%にまで下がると見込んだ。
NAND型フラッシュメモリ(NANDフラッシュ)については、サムスン電子とSKハイニックスが中国に生産拠点を擁しているが、2社とも増産計画を調整し、韓国等、中国以外の国・地域で200層以上の増産を展開する見込みだと分析。これを背景に、NANDフラッシュ総生産能力に中国の占める比率は23年の31%から25年に18%まで低下するとの見通しを示した。
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