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【EMS/ODM】WingTech、ODM事業をLUXSHAREに売却 半導体事業に資源集中
2025-01-06 12:46:40
携帯電話ODM(Original Design Manufacturer=設計・製造の受託)大手の中国WingTech(聞泰)は2024年12月30日、傘下にあるODM業務関連子会社9社の株式と資産を、EMS(電子機器受託製造サービス)大手の中国LUXSHARE-ICT(立訊精密)に譲渡することで両社が合意したと表明した。これについて、台湾の大手紙『経済日報』は2025年1月1日付で、WingTechのODM事業を取り込むことで、LUXSHAREが米アップル(Apple)以外のブランドのスマートフォンやノートPC(NB)受託製造への参入を果たすことになるとし、EMS最大手のフォックスコン(FOXCONN=鴻海精密=ホンハイ)をはじめとする台湾系EMS・ODM大手を追撃する態勢を一層整えることになると評した。


『証券時報』や『第一財経』等の複数の中国メディアが24年12月31日付で報じたところによると、WingTechは30日、ODM業務関連の子会社9社をLUXSHAREに売却して赤字のODM事業を切り離すことにより半導体事業に経営資源を集中、とりわけパワー半導体分野で、世界トップクラスを目指すと表明した。

WingTechのODM業務について証券時報は、スマホ、タブレット端末、NB、スマートIoT(モノのインターネット)、家電、車載電子機器など多岐にわたるが、中核はスマホだと指摘。顧客には韓国サムスン電子(Samsung Electronics)、中国レノボ(Lenovo=聯想)、中国Xiaomi(シャオミ=小米)、中国Huawei(ファーウェイ=華為)、米アップル(Apple)がいると紹介した。うちアップル向けでは、NB「MacBook」生産を手掛ける中国雲南省昆明工場もLUXSHARに売却するが、中国O-Film(欧菲光)から買収したGuangzhou Delta Image Technology(広州デルタイメージ技術)は売却の対象に入っていないと報じた。

一方、第一財経はWingTech のODM事業について、24年上半期の売上高が前年同期比26.68%増の261億2000万元(1元=約21.5円)だったが、売上総利益率は2.49%、純損失が8億5000万元に上ったと指摘。これに対して、半導体事業の売上高は同7.9%減の70億4000万元だったが、売上総利益率は34.95%、純利益は10億8000万元だとし、ODM事業から撤退し、半導体事業に専念することで、黒字転換をすぐに実現できると評した。

この他、経済日報はWingTechについて、半導体に対する研究・開発(R&D)投資を引き続き増強しており、傘下の蘭ネクスペリア(Nexperia)が 24年6月、独ハンブルグ工場に2億米ドルを投じて、次世代半導体の炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)のR&Dや生産施設を設立する計画を発表したと紹介した。

またLUXSHAREについては、今回の買収で顧客構成やODMの能力を強化できる他、設計力の不足を補うことができると指摘。既存の電子部品事業と統合することで、より完備したサプライチェーン構築が期待される他、アップルのMacBookシリーズ受託製造で、台湾系の寡占を打破する可能性があるとの見方を示した。

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