レポートは、米商務省が13日に発表した新規制で、各国を3つのカテゴリーに分類し、それぞれ異なる制限を適用すると指摘。第1カテゴリー(Tier 1)の米国と18の同盟国・地域(ドイツ、オランダ、日本、韓国、台湾等)は、ほぼ制限なしでAIチップにアクセス可能、世界の大多数の国が該当する第2カテゴリー(Tier 2)は2025〜27年の期間に約5万個のGPUに相当する計算能力が上限として設定されるとした。第3カテゴリー(Tier 3)は中国、マカオ、及び武器禁輸国(24カ国・地域)で、実質的に輸入が禁止されると指摘。AI技術の開発では、AIモデルの重み(model weights)のホスティングも禁止されるが、オープンソースモデルは規制対象外だとした。
DIGITIMESの伝えた先の半導体サプライチェーンは、米バイデン政権は2022年以降、AIチップ輸出規制措置を数回にわたって実施、強化したが、中国企業は密輸や第三国経由の取引を活用して、エヌビディアの旧モデルA100/H100/H200、新モデルB200シリーズ等のAI GPUや、RTX 4090等のPCゲーム用GPU等、規制対象となる製品を輸入するケースが続出していたと指摘。その上で、今回の新たな規制は、これら抜け穴の問題解決を目的にしたもので、AIチップの迂回輸出を厳しく取り締まるものだとした。
その上でこのサプライチェーンは、今回の新規制発表後、中国企業が調達を緊急に拡大しており、エヌビディアのAI GPUやRTX 4090のみならず、まもなく発売予定のRTX 5090の注文も急増していると指摘。RTX 5090の価格はRTX 4090より25%高い1999ドルにまで上がり、需要超過が価格を押し上げているとした。
新規制の効果についてこのサプライチェーンは、次期トランプ政権が規制をどれだけ強化するかにかかっていると指摘。短期的にはエヌビディアとサプライチェーンは需要増の恩恵を受けるが、長期的な影響は不透明だとした。
一方、台湾の大手経済紙『工商時報』は1月14日付で、台湾業界筋の見方として、仮に次期トランプ政権がこの新規制を厳しく適用した場合、組立や部品など台湾系AIサーバー関連サプライチェーンが影響を受けるのは不可避と指摘。ただ、業者間で影響の程度は濃淡があるとし、最も小さいのはクアンタ(Quanta Computer=広達電脳)とウィストロン(Wistron=緯創)、次いでフォックスコン(FOXCONN=鴻海精密=ホンハイ)で、インベンテック(Inventec=英業達)、Gigabyte(技嘉)、ASUS(エイスース=華碩)は大きな影響を受けると報じている。
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