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【液晶パネル】パネルAUO会長、米国工場の建設否定「生産するほど損失」
2025-04-17 11:24:30
パネル大手台湾AUO(友達)の董事長(会長)で、台北市コンピュータ同業協会(Taipei Computer Association=TCA)の理事長を務める彭双浪氏は2025年4月16日、米トランプ政権の関税政策による影響を避ける形で、AUOが米国工場建設を検討し始めたか否かについて、「20~30%の関税を考慮しても、米国での生産量を増やせば増やすほど損失が拡大する」として、これを理由に米国で生産拠点を建設する計画はないと強調した。


『中央社』『工商時報』等、台湾の主要メディアが16日付で報じた。それによるとAUOの彭董事長は、台湾台北で開かれるディスプレイの展示会「Touch Taiwan 2025」(16~18日)に当たって記者対応し、米国の関税政策による電子機器サプライチェーンや同社の取り組みに与えた影響などについて言及した。

米国に生産拠点を設けるか否かについて彭氏は、「パネル工場は資本集約型であり、製品にある程度の利益率がなければコストに見合わない」とした他、米国にはパネル産業の川上・川下のインフラやサプライチェーンが存在しないと指摘。その上で、「関税が20~30%に達したとしても、米国に工場を建てて生産すれば、生産するほど赤字が膨らむ」と述べ、「グローバルな生産配置の方が現実的だ」とした。

さらに彭氏は、「企業が不確実な状況下で米国に工場を設置することなどあり得ない。どこで生産するのが最も安いかを基準にするのが、過去40年のグローバル化の結果だったが、トランプ大統領が『反グローバル化』の動きを強めたことで、製品はもはや安くはならない」と指摘。「米国は『最も忠実な同盟国』から、国連や国際支援の予算を削減する国に変貌している」と評した。また、トランプ氏が引き起こした地政学的変動は「地殻変動に似た大地震」だと表現し、電子機器サプライチェーンの構造が「China vs. non‑China」から2024年4月2日以降は「USA vs. non‑USA」に再構築される傾向にあるとした。さらに、米国が中国への関税を最大245%に引き上げたことは、消費財価格の上昇と消費市場の悪化を招く一方、中国は内需拡大策を強化し、台湾メーカーにも機会を提供するが、米国市場の穴を完全には埋められないとの考えを示した。

関税によるAUOへの影響について彭氏は、米国向けの直接売上げは約2億米ドルで、顧客製品の米国輸出比率は約12%だとした。また、同社のベトナムにあるモジュール工場では、相互関税の90日間の猶予措置により出荷を再開したが、関税はサプライチェーンの調整を迫っているだけでなく、伝統的な閑散期・最盛期の季節サイクルにも影響を及ぼしているとの見方を示した。

自社の生産配置については、ベトナムのモジュール工場や、ドイツ車載空調制御機器大手BHTCの統合により、欧米とアジアにまたがる完全な製造・サプライチェーンネットワークを構築していると強調。また、ドイツ、フィンランド、ブルガリア、中国、インド、日本、メキシコ、アメリカに子会社があり、政策や市場の需要に応じた生産能力の柔軟な配分が可能だと述べた。

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