経済日報によると、台湾の半導体業界では5月26日、旭化成が一部の顧客に対し、同社の生産能力が市場の需要に追いつかないため、PSPIの供給を停止する旨通知したとの情報が流れた。同紙はまた、これについてTSMCとASE Technologyの担当者は26日、ともにコメントを拒否したと報じた。
一方、同紙の伝えた事情に詳しい複数の半導体業界筋は、AI(人工知能)市場の急成長によって計算能力の需要が急拡大し、それに伴い先進封止の需要も急増していると指摘。こうした中、旭化成ではPSPIの生産が追いつかず、供給不足に陥っていると述べた。
ある業界筋はPSPIについて、ウェハーレベルパッケージ(WLP)、CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)、2P2M、4P4M等の多層再配線プロセスにおいて、表面保護層や再配線層(RDL)の絶縁材料として使用される不可欠な材料であり、「光感応性」と「絶縁性」の両立が唯一無二の特徴だと紹介。現在、完全な代替材料は存在しておらず、サプライチェーン全体に深刻な影響を及ぼす恐れがあるとの見方を示した。
経済日報によると、台湾の半導体業界では、旭化成の重要顧客であるTSMCが優先的に供給を受けると見ている一方、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)、米インテル(Intel)、ASE、台湾INNOLUX(群創)もCoWoS技術に力を入れていることから、PSPIの需給はさらに逼迫するとの懸念が持ち上がっている。また、旭化成によるPSPIの出荷制限は、短期的にはTSMCに大きな影響を与えないものの、世界中で進行中の先進封止拡大戦略にはブレーキがかかる恐れがあり、安定供給の確保には、台湾系の供給源の育成やリスク分散、革新材料の開発が不可欠だとの見方が出ているという。
同紙の伝えた台湾の市場関係者は、旭化成に代わる供給源として台湾では、Everlight Chemical(永光化学)、Eternal Materials(長興材料)、San Fu Chemical(三福化)等の台湾系企業が有望視されていると述べた。
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