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【EMS/ODM】マレーシア、米国製AIチップ輸出・積み替え等に制限 サーバー製造WiWynnに打撃
2025-07-15 11:14:30
台湾の大手紙『経済日報』は2025年7月15日付で、マレーシア投資貿易産業省が14日、米国製の高性能AI(人工知能)半導体の輸出、積み替え、通過に貿易許可取得を義務付け、即日実施すると発表したと報じた。同紙は、世界的なAIサーバー生産拠点の1つであるマレーシアのこの決定は、米スーパー・マイクロ(Supermicro)や、台湾ウィストロン(Wistron=緯創)のサーバー子会社WiWynn(緯穎)等、AIサーバーサプライチェーンに大きな打撃になると伝えた。


経済日報が伝えた英『ロイター』(14日付)の報道によると、マレーシア投資貿易産業省は声明で、同国の戦略物資リストに明記されていない品目を輸出したり、積み替えたりする場合や、トランジットで持ち込む場合、個人・企業は30日前までに当局に通知する必要があるとした他、マレーシアが米国製の高性能AI半導体を戦略物資リストに加えるかどうかを検討する間、同措置が規制上の抜け穴を埋める役割を果たすとしている。

経済日報はマレーシアについて、サーバー生産の一大拠点であり、スーパー・マイクロやWiWynnをはじめとするサーバー製造大手が現地に工場を構える他、ヨンチョンリーグループ(楊忠礼集団)、「アジアの砂糖王」クオック・ホックニャン(郭鶴年)グループ等の華人系財閥が数十億〜数百億米ドル規模のAIデータセンターを建設していることに、米国が強い懸念を示しているとした。

同紙の伝えた台湾の市場関係者は、マレーシアにデータセンターを構える多国籍企業が増える中、エヌビディア(NVIDIA)等、米国系企業のAIチップがマレーシア経由で中国に流れる可能性があると指摘。とりわけ、マレーシアの華人財閥は海外の政財界に広いネットワークを擁することから、中国系企業がこのルートから高度なAIチップを取得可能だとの見方も広がっていると述べた。

この市場関係者はまた、マレーシアでAIサーバーの大規模な生産能力を持つスーパー・マイクロやWiWynnが、今回の規制で大きな影響を受けると指摘。うち、WiWynnは台湾系サーバーODM(Original Design Manufacturer=設計・製造の受託)の中で、最大の拠点をマレーシアに置いているとした。スーパー・マイクロについては、同社サプライチェーンで放熱モジュールの台湾Auras(双鴻)、封止・測定(パッケージ・テスト)の台湾OSE(華泰)も警戒を強めているとした。

WiWynnのマレーシア取り組みについて同紙は、ジョホール州にあるサーバー組立工場第1期ラインが2023年、第2期のマザーボード生産ラインが2024年にそれぞれ稼働、今後は需要に応じて第3工場の建設も視野に入れていると報じている。

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