『経済日報』『中央社』等の台湾メディアが同日付で報じた。それによると、TSMCが同日公表した25年第2四半期(4〜6月)決算は、売上高が前期比11.3%増、前年同期比38.6%増の9337億9000万NTドル(1NTドル=約5円)、税引後純利益は前期比10.2%増、前年同期比60.7%増の3982億7000万NTドル、EPS(1株あたり税引後純利益)は15.36NTドルで、いずれも四半期ベースの最高だった。売上総利益率は58.6%、営業利益率は49.6%、税引後純利益率は42.7%だった。
25年第3四半期(7〜6月)の業績見通しでは、売上高が平均で前期比8%増の318億~330億米ドルを予想した。1米ドル=29NTドル換算で、売上総利益率は同55.5~57.5%、営業利益率は45.5~47.5%を見込んだ。
投資家向け説明会でTSMCの魏董事長は、顧客の行動に目立った変化は見られないとし、3nm(ナノメートル)や5nm等の先進プロセスの需要は強く、HPC(高性能計算)向けプラットフォームの成長も追い風になっていると指摘。これらを背景に、25年の米ドル建て売上高見通しを前年比30%増に上方修正するとした。
設備投資について、TSMCの黄仁昭・最高財務責任者(CFO)は、実際の投資額は25年第1四半期が100億6000万米ドル、同第2四半期が96億3000万米ドルで、25年上半期は計196億9000万米ドルだったと紹介。25年通年では前年から28~41%増の380億~420億米ドル、平均400億米ドルで過去最高になるとの見通しを維持するとした。
海外拠点の取り組みについて魏董事長は、日本とドイツでの工場建設計画は継続中だとした上で、熊本第2工場については、現地のインフラ整備の状況に応じて進めるとし、着工は今年後半を予定すると説明した。
米アリゾナの投資計画について魏氏は、「超大型ファブ拠点の形成を目指し、第1工場は4nmで量産中、第2工場(3nm)は竣工、第3工場(2nmおよびA16)は建設中」とした。また、第4工場には2nm・A16プロセス技術を採用する計画で、第5~6工場はさらに先進技術を導入予定だとした。各工場の建設及び量産スケジュールは顧客の需要に応じて決まると述べた。
先進プロセスについて魏氏は、2nm(N2)は25年下半期に量産化段階に移行する予定、次世代「N2P」とA16はいずれも26年下半期の量産化を計画していると説明。A14(1.4nm)については、順調に開発が進行しており、2028年の量産化、2029年にSuper Power Rail技術を導入予定だとした。
米国の対中関税政策について、魏氏は「不確実性はあるが、現時点で顧客の注文行動に変化はない」としつつ、2025年下半期~2026年に向けて慎重に対応する姿勢を示した。また、「TSMCは技術の優位、製造力、顧客からの信頼を柱に、将来の成長トレンドへの投資を続ける」と強調した。
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