経済日報によると、VPECの関係者は22日、中国の規制によりInP基板の供給が滞ったことで、同社では原料不足のため製造ラインが停止、業績にも大きな影響が出ていたと説明。その上で、現在は材料供給が再開されたことで生産ラインもフル稼働に戻ったとし、顧客の需要に応えるべく出荷を急いでいるとした。また、25年第3四半期(7〜9月)の業績は急速に回復するとの見通しを示した。
世界のInP供給について同紙は、中国が最大の供給国で、全体の約60%を独占、2位以下はドイツ、日本、米国の順だと指摘。主な基板サプライヤーには、AXT、住友電工、仏II-VIがいるとした。その上でAXTについて、60〜70%という圧倒的なシェアを誇るとし、主要生産拠点が中国にあるとした他、多くのエピウェハーメーカーにとって不可欠な原料供給源だとした。
同紙の伝えた台湾の業界筋は、米エヌビディア(Nvidia)のAI(人工知能)スーパーチップ「GB200」が25年第3四半期に量産化に移行、次世代のGB300も同第4四半期から試作が始まる予定だとし、こうした中、光通信モジュールに対する市場の需要は今後さらに高まることが見込まれると指摘。その上で、光通信チップに不可欠な材料であるInPの供給回復は、エピウェハーメーカーの出荷拡大と業績回復を後押しする要因になると述べた。
この業界筋はまた、InPは電子飽和速度の速さ、放射線耐性、熱伝導性、光電変換効率、広いバンドギャップ等の優れた特性を持ち、AIサーバー向け高速データ転送において重要な材料になっていると指摘。一方で、技術的な制約と特許の壁が高く、供給が限られているため、市場は寡占状態にあり、量産化には高いハードルが存在しているとした。その上で、台湾系企業の動向について、IntelliEPI、VPEC、LandMarkの3社がいずれも直近の決算説明会等において、InPエピウェハーの増産計画を公表したと紹介。うち、IntelliEPIが米国新工場の第2期工事を25年7月に着工、26年の竣工・量産化を予定するとした他、既に増産計画を推進しているLandMarkが今後数カ月で出荷規模をさらに増やすとし、VPECも新規設備の導入を継続し、生産体制の強化を図っていると伝えた。
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