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【産業動向】台湾業者、BT基板を最大2割値上げ 日東紡のT-Glass需給逼迫で 台湾報道
2025-07-28 09:55:47
台湾の大手経済紙『工商時報』は2025年7月22日付で、IC基板の台湾系大手が25年7月に入り、BT基板の供給価格を相次いで引き上げたと報じた。最大で20%の値上げだとし、理由として、ガラス繊維の日東紡(Nittobo)が供給するT-GlassをはじめとするBT基板用材料の需給逼迫を挙げた。


工商時報の伝えた台湾の業界筋は、BT基板はこれまで供給過剰による低収益構造が続いていたが、AI(人工知能)GPU・ASICの需要拡大に伴い、高性能BT・ABF基板の他、コア材料のガラスクロスT-Glassの需給も逼迫していると指摘。銅・金等の価格上昇も相まって、T-Glassを採用したBT基板の価格が大幅に上がっているとした。具体的には、メモリ用やアンドロイド(Android)スマートフォン用ハイエンドIC向けは最大20%の値上げ、中低価格帯向でもコスト上昇分が反映され始めたとした。

一方、同紙の伝えた台湾の市場関係者は、台湾系IC基板各社の売上高全体にBT基板の占める比率について、最高はKINSUS(景碩)で約33%、以下、NanYa PCB(南電)が約28%、Unimicron(欣興)が約13%、ZDT(臻鼎)が4%超だと紹介。その上で、価格上昇が2025年末まで続けば、BT基板の利益率は低水準から中程度に改善される可能性があるとした。さらに、T-Glassの主要サプライヤーである日東紡の新規増産が2026年下半期になると予想されることから、BT基板の供給逼迫は当面続くとの見方を示した。

一方で、この市場関係者は、ABF基板もAIチップ用途の拡大で出荷が増加していると指摘。価格上昇圧力は現時点では限定的だが、基板サイズの大型化やT-Glass供給不足により、中長期的には値上がりの可能性が高まっているとした。とりわけ、T-Glassの需要増が従来型E-Glassの生産ラインを圧迫する場合、中・低価格帯のABF基板価格も見直される可能性があるとの見方を示した。

工商時報は、台湾系IC基板大手3社のうちUnimicronについて、AI ASICや米国系GPUプラットフォームで約30~40%のシェアを確保しており、売上高にAI基板の占める比率は25年、17%に達する見込みだとした。NanYa PCBについては、800Gの比率が7%、AI基板が9%に拡大すると予想した。KINSUSについては、AI GPU向け基板の比率はなお高くないものの、第3サプライヤーの認定を得ていることから、今後拡大する余地を残していると評した。

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