【産業動向】エヌビディアCEO、緊急訪台でTSMCと協議 中国が「H20」封殺で 台湾メディア
2025-08-25 10:52:17
台湾メディア『FTNN新聞網』は2025年8月23日付で、中国政府が米エヌビディア(NVIDIA)の中国市場向け人工知能(AI)チップ「H20」について、安全保障上の懸念から利用しないよう中国企業に求めたのを受け、エヌビディアでは関連する製品の生産を停止するよう台湾フォックスコン(FOXCONN=鴻海精密=ホンハイ)等のサプライチェーンに伝えた他、同社のジェンスン・フアン(Jensen Huang=黄仁勲)最高経営責任者(CEO)が22日、緊急に台湾を訪問し、台湾TSMC(台積電)と中国向け新製品「B30」の生産配分や次世代Rubinアーキテクチャの準備を協議したと報じた。
FTNN新聞網が『The Information』等の米国メディアや中国メディアの報道として伝えたところによると、中国当局は安全上の懸念から、H20の購入を控えるよう中国企業に命じた。中国当局が、H20には位置情報を追跡する機能が搭載されているとも主張しており、対中輸出の再開は不透明な状況だとしている。また、中国のAIスタートアップDeepSeek(ディープシーク)がこのほど、大規模言語モデルのアップグレード版「DeepSeek-V3.1」で処理速度の向上を実現した他、中国製AIチップ向けの最適化機能を備えたとし、中国政府の方針に従い、国産AIチップのエコシステム対応に向けモデルアーキテクチャの調整を開始した。これら状況を背景に、エヌビディアはフォックスコン、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)、封止・測定(パッケージ・テスト)の米アムコア(Amkor)等、複数のサプライチェーンに対し、H20チップの生産を全面的に停止するよう通知。H20の中国市場展開はほぼ頓挫した格好だとしている。
FTNN新聞網によると、エヌビディアのフアンCEOは台湾到着後、その足でTSMC本社を訪問。その後、TSMC創業者のモリス・チャン(張忠謀)氏を表敬訪問し、誕生日祝いとしてウイスキーグラスを贈った。同夜には魏哲家・董事長(会長)、秦永沛、米玉杰の両最高執行責任者(COO)、侯永清・副COO、黄仁昭・最高財務責任者(CFO)等、TSMC幹部と非公開の夕食会を設けた。
FTNN新聞網の伝えた台湾の関係筋は、フアン氏は「H20にバックドアは存在しない」と重ねて強調しているが、米中対立の政治的影響で中国市場の需要急減に直面していると指摘。その上で、今回のTSMC訪問で同氏が、B30の生産体制を協議した他、次世代アーキテクチャRubinの準備を前倒しするようTSMCに要請したと述べた。
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