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【半導体】「中国版エヌビディア」寒武紀、上半期売上高4348%増 米テック7社の置き換え進行象徴
2025-09-01 11:16:41
人工知能(AI)チップ大手の中国Cambricon(寒武紀科技)は2025年8月27日、25年上半期(1~6月)の売上高が前年同期比4348%増の23億8100万元(1元=約20.6円)、純利益が10億4000万元で黒字転換したことを明らかにしたが、これについて台湾の経済メディア『財信伝媒』の謝金河・董事長(会長)はフェイスブックの28日付投稿で、中国政府が国産技術の利用を奨励し、国産AI半導体の需要が高まる中、Cambriconは「中国版エヌビディア(Nvidia)」としての存在感を強め、中国系テクノロジーの新たな希望になると評した。


台湾メディア『Nownews(今日新聞)』(28日付)によると、フェイスブックの投稿で財信伝媒の謝董事長は、エヌビディアが25年第2四半期(4〜6月)決算発表で好調な業績を示したにもかかわらず、時間外取引で株価が下落したのは、中国に関する不確実性が要因だと指摘。これに対し、Cambriconは、業績発表を受け、8月27日の株式市場で株価が一時10%高の1464.98元まで上昇し、一時的ではあるものの「中国株王」と称される貴州茅台酒を抜いたと紹介した。

その上で謝氏は、中国は米国との関税交渉で時間を稼ぎながら、AIと人型ロボット(ヒューマノイドロボット)を戦略分野として選択し、政策と資本市場を連動させることで、産業の評価額を押し上げていると指摘。過去にはEV(電気自動車)大手のBYD(比亜迪)やEV電池大手のCATL(寧徳時代)が主役だったが、今回はCambriconや、ファウンドリのSMIC(中芯国際)、華虹半導体等の半導体企業が主役だとした。

さらに謝氏は、中国ファーウェイ(華為)創業者の任正非氏が「中国の『チップ不足・魂不足』の問題は改善されつつある」と発言したことにも触れ、中国で半導体の代替が加速していると指摘。長年の模索を経て、中国は米国の「テック・セブン」に相当する布陣を形成しつつある、すなわち、Cambriconは中国版NVIDIA、シャオミ(Xiaomi=小米)は中国版アップル(Apple)、テンセント(Tencent=騰訊)は中国版メタ(Meta)、アリババ(Alibaba=阿里巴巴)は中国版アマゾン(Amazon)、バイドゥ(Baidu=百度)は中国版グーグル(Google)、BYDは中国版テスラ(Tesla)に相当する存在だと説明した。

謝氏は最後に「中国は時価総額を大きくすることに全力を注ぎ、株式市場の力で産業を牽引している。今はCambriconが最も中核的な役割を果たしている」と指摘。中国は内需の力を使って徐々に米国の大企業を中国市場から締め出そうとしているとし、具体的には米スターバックス(Starbucks)が中国市場から撤退準備をしているようだとした他、アップルやテスラも圧力を受けており、エヌビディアの中国専用AI GPU「H2O」が中国政府に封殺されたとした上で、これらは氷山の一角に過ぎない可能性があると強調。中国はAIチップ市場で一席を奪う強い意欲を持っているとし、Cambriconがエヌビディアに挑戦する構図が、こうした背景から始まるとの見方を示した。

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