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【産業動向】パナ、AI事業強化で上海に電子材料の新工場 本間副社長
2025-09-03 10:49:14
中国の経済メディア『第一財経』は2025年9月1日付で、中国日本商会会長で、パナソニックホールディングス(Panasonic)副社長兼グループ中国・北東アジア総代表の本間哲朗氏のインタビューを掲載。パナソニックが中国のAI(人工知能)関連事業に対する投資をさらに強化しており、25年9月に上海で新たな電子材料工場を着工することを明らかにしたと報じた。


第一財経に対し本間氏は、パナソニックの中国・北東アジア地域における2024年度の売上高は前年同期比3%増、営業利益は10%増だったとした他、2025年度第1四半期(4~6月)も売上高が前年同期比3%増、営業利益は26%増と、引き続き好調な業績を記録していると紹介。生成AIサーバー需要の高まりが、電子材料やコンデンサ、チップマウンター等の販売を押し上げていると評した。

第一財経は、世界及び中国のAIサーバー市場が急速に拡大する中、パナソニックが中国市場に向け、導電性高分子コンデンサ、多層基板、チップマウンター等の主要部品や設備を供給することにより、AI市場のもたらす商機獲得に向けた投資を強化しているとした。

また、パナソニックの中国取り組みについて本間氏は、投資額7億9000万元(1元=約20.8円)のパナソニック電子材料(広州)では敷地面積3万3000平米の第4工場が2020年6月に着工、2023年9月に稼働したとし、主にAIサーバー向けの多層基板を生産しているとした。投資額6億元のパナソニック電子材料(蘇州)蘇州ハイテク区新工場は2024年10月に着工、2026年6月の稼働を予定しており、敷地面積5万平米の同工場ではIC向けの新素材を生産し、半導体分野等の需要を満たす計画だと説明した。この他、上海奉賢に1億2000万元を投じて建設するパナソニック電子材料(上海)の新工場は、2025年9月に着工予定で、2027年初頭の量産開始を計画、敷地面積1万平米の同工場では、主にAIサーバー向けの電子材料を生産すると述べた。本間氏はさらに、広州工場への設備投資の追加も計画しているとし、中国におけるAIサーバー関連電子材料への投資総額は約15億元に上るとした。

本間氏は、AIサーバー向けコンデンサや電子材料は欧米市場にも輸出しており、2024年には欧米での売上げが前年比133%増と大きく伸びたと指摘。直近では、サーバー冷却用の液体循環ポンプの契約も結び、将来的には中国杭州モーター工場での生産も検討しているとした。

この他同氏は、パナソニックが中国子会社を含めた社内でのAI活用を推進していると紹介。上海のIT開発子会社・パナソニック情報システム(上海)では、チャットGPT(ChatGPT)、ディープシーク(DeepSeek)、通義千問といった大規模言語モデルを社内システムに接続し、社員が利用できる環境を整えたとした。さらに中国・北東アジア地域ではAI活用コンテストを開催し、AI技術の普及と文化の醸成を進めているとした。一方、大連のパナソニック電器ソフト開発は、生成AIサーバーを構築し、自社の小規模モデルを開発、ネットワーク接続がなくても利用可能な仕組みを整えたとし、今後は、これらAI活用事例を他の日系企業にも紹介していく考えを示した。

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