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【EMS/ODM】部品サプライヤー、生産拠点の単独展開は禁物 EMS・ODMとの協働推奨 台湾MICがフォーラム
2025-09-11 11:29:50
台湾のシンクタンク財団法人資訊工業策進会・市場情報センター(MIC)は2025年9月8日に開催した年次フォーラムで、為替と関税という二重の課題に直面する中、ICT(情報通信技術)産業チェーンの川上にある部品サプライヤーは、生産拠点において単独行動をやめ、EMS(電子機器受託製造サービス)・ODM(Original Design Manufacturer=設計・製造の受託)大手などと協働してスマート製造パークのような集積地を構築する必要があるとの考えを示した。また、新たなグローバルサプライチェーンは今後、中国、東南アジア、北中米の三大クラスターを中心に形成され、企業はいずれの地域への展開も不可欠となるとした。


台湾の通信社『中央社』(9月8日付)が報じた。それによると、フォーラムでMICの林柏齊シニア産業顧問兼主任は、米トランプ政権による各国に対する差別関税の導入や転送防止措置の強化の影響により、ICT産業チェーンの部品業者は、生産移転のプレッシャーが必然的に高まっていると指摘。企業の唯一の解は製造拠点の分散と柔軟なオペレーションだが、もはや単独で戦うことはできず、サプライチェーンの川上・川下が協力してスマート製造パーク等の集積地を発展する必要があると強調した。

林氏は、世界のICT産業は従来の中国中心の製造モデルから、中国、東南アジア、中北米の三大サプライチェーン・クラスターに分散するモデルへと移行し、市場ごとの需要に対応するようになるとし、台湾や中国以外の製造拠点選定に当たっては、「コスト」、「オペレーション」、「市場」、「政治」の4つから考慮するべきだとした。うち「コスト」では、ベトナムやインドネシアが人件費と関税負担が比較的低く、コンシューマ向け電子機器生産の優先拠点になるとした。「オペレーション」では、タイとマレーシアがインフラや海運拠点の利便性が高く、近隣に東南アジアのデータセンター拠点であるシンガポールがあるとした。「市場」では、自国の川上サプライチェーンの育成を進め、国内市場向けコンシューマ向け電子機器の自給自足を重視しているインドを挙げた。「政治」では米国を挙げ、台湾系EMS・ODM大手が既に米国工場の建設計画を進めていることで、AIサーバーの生産能力が顕著に増加している他、これまでメキシコでのニアショア製造に依存していた企業も、米国との統合で生産能力とサプライチェーンの最適化を図ることができるとした。

台系企業の主要ICT製品の各地域における生産能力の変化についてMICは、2025年にはサーバーの米国及び中南米での生産比率が上昇傾向にあると指摘。ノートPC(NB)、デスクトップPC、スマートフォンは、中国生産の比率が引き続き低下し、東南アジアと中南米の生産比率が引き続き上昇すると予想した。

中央社によると、2026年の市場見通しについて林氏は、関税リスクとインフレ懸念により市場の信頼感はやや低迷するものの、世界全体のICT機器出荷は前年から小幅に増加するとした。うち、サーバーは前年比4.5%増の1498万台にとどまるが、AIサーバーは前年比12.9%増の457万台を予想した。NBは同2.9%増の1億8000万台、デスクトップPCは同1.5%増の6840万台、スマホは同1.5%増の12億4000万台を見込んだ。

さらに林氏は、2026年が「+USA」サプライチェーン管理を検証する重要な年になると強調。米国の232条項はICT産業に重大な影響を与えるため、実施の詳細や規制の枠組みはまだ明確でないものの、産業界は既に海外及び米国進出を先行して検討していると紹介。2026年は企業の越境運営能力が一層試される年になるとの見方を示した。

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