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【産業動向】エヌビディア、「Rubin」の冷却にMLCP導入検討 DIGITIMESレポート
2025-09-18 11:44:33
調査会社DIGITIMES Researchは2025年9月12日付レポートで、台湾のAI(人工知能)サーバーサプライチェーンの話として、AI GPU最大手の米エヌビディア(Nvidia)は、次世代「Rubin」アーキテクチャGPUの消費電力と熱設計要求が大幅に上がっているのを受け、放熱技術に次世代の液体冷却(Liquid Cooling)ソリューションを採用するとし、従来のコールドプレート(cold plate)に代わって、マイクロチャネルリッド(Microchannel Lid=MLCP)の導入を検討しており、放熱モジュールの台湾系大手が既にサンプル品を出荷したと伝えた。


MLCPについてDIGITIMESは、従来チップ上を覆っていたリッド(Lid)を上部の液冷プレート(coldplate)と一体化し、内部に流体用の微小チャネルを設けるものだとし、これにより冷却液がチップのそばを直接流れるため、中間の媒介が減ることで冷却効果が高まる他、サイズも小さくなることで、AIサーバー設計の方向性により適合すると紹介した。

DIGITIMESの伝えたサプライチェーンは、エヌビディアが2026年下半期に予定するRubinアーキテクチャでMLCP設計を導入するか否かはなお確定していないが、放熱モジュールの台湾系3社、AVC(奇鋐)、Auras(双鴻)、Jentech(健策)はいずれもサンプル品を提出済みだと述べた。

一方、台湾の半導体業界筋は仮にエヌビディアがRubin GPUでMLCPを採用する場合、2026年第3四半期(7〜9月)までに量産体制を整える必要があると指摘。このため、例え25年内にMLCPサンプルの認証を完了しても、極めてタイトなスケジュールになるとの考えを示した。

先の業界筋は、エヌビディアGPUの消費電力が近年急増しており、「Hopper」世代で500Wを突破して700Wに到達、「Blackwell」アーキテクチャの「B200」は1000Wに達したと指摘。Rubinのデュアルチップ版は2300Wに上る見込みで、将来的には3000〜4000Wに達する可能性があるとした。

一方、MLCP導入の課題については、(1)電鍍工程等、新たな製造プロセスを追加する必要があること、(2)高精度のチップ接合と量産時の歩留まりを確保する必要があること、(3)液体流路における漏液リスクの防止、(4)サーバー設計や封止・測定(パッケージ・テスト)設備の変更、を挙げた。

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