レポートでTrendForceは、これまでのところ東南アジア製NBが米国向け輸出で関税免除の扱いを受けていること、さらに、サプライチェーンがトランプ関税への対応策で、この地域で前もって生産能力の拡張を進めていたことから、東南アジアではNB生産能力とサプライチェーンが整備されつつあると指摘。これが25年のNB世界出荷のプラス成長に貢献すると評した。
TrendForceによると、25第2四半期(4〜6月)のNB世界出荷は、前期比9.5%増の4580万台だった。東南アジア製NBの対米輸出が引き続き無関税だったことから、ブランド各社が前倒しで調達したのに加え、中国市場では補助金政策による買い替え需要が奏効、さらに日本でも「GIGAスクール2.0」教育プロジェクトの効果が継続的に出荷を押し上げたとし、これらが高い成長につながったと紹介した。
25年第3四半期(7〜9月)については、米国の半導体関税の詳細がまだ発表されていないものの、NBに対する関税免除は維持されていること、NBブランド、OS業者、CPU業者がいずれも販売ルートに対する補助金での支援を継続していることから、NB出荷は前期比7.5%増の4920万台と、引き続きプラス成長を見せると予想した。
一方でレポートは、グローバルなサプライチェーン再編の流れの中で、東南アジアは今後、中国に次ぐ主要なNB製造拠点として、貿易リスクの緩和で重要な役割を果たすことが見込まれると指摘。NBブランドのうち、米デル(Dell)と米アップル(Apple)はベトナムへの大規模投資を通じてサプライチェーン集積を形成し、他ブランドの進出を促しているとした。具体的には、中国に隣接するという地の利や、交通インフラの利便性、安定した政策環境、豊富な若年労働力を背景に、台湾コンパル(Compal Electronics=仁宝電脳)、台湾ウィストロン(Wistron=緯創)、中国レノボ(Lenovo=聯想)傘下LCFC(聯宝)、中国Huaqin(華勤)といったODM(Original Design Manufacturer=設計・製造の受託)大手が生産拡張の拠点として、ベトナムを最優先にしているとした。その上で、これら状況を背景に、ベトナム製NBの世界シェア(NB世界生産能力に占める比率)は2025年、13.5%に急拡大するとの見方を示した。
タイについては、米ヒューレット・パッカード(HP)主導の下、台湾クアンタ(Quanta Computer=広達電脳)や台湾インベンテック(Inventec=英業達)が大規模なNB生産拠点を立ち上げたと指摘。電子製造産業のインフラや政府の投資優遇政策を備える他、地理的に南アジアとASEAN市場をつなぐ重要なハブになっているタイには、複数の部品サプライヤーが同時に進出することで現地にサプライチェーンが整備されつつあるとした。その上で、2025年にタイ製NBの世界シェアは6.7%に達する見込みだとした。
この他レポートは、一部の教育・政府向けNBプロジェクトは「現地生産」が求められることから、ブランド各社がインド、インドネシア、ブラジル等、大規模な内需市場を抱える国・地域で、現地企業と協働して生産体制を整備し始めていると指摘。これを背景に、中国・ベトナム・タイ以外の地域製NBの世界シェアが25年、3.7%に上るとの見通しを示した。
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