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【産業動向】中国がレアアース輸出規制強化 台湾の影響
2025-10-13 13:24:50
台湾の大手経済紙『工商時報』(2025年10月12日付)によると、中国が9日、レアアース(希土類)に関する輸出規制の強化を示したのを受け、台湾経済部(経産省に相当)は12日、台湾の半導体産業が使用しているレアアースや誘導体は主に欧米と日本から調達しており、直接的な影響は小さいとの見方を明らかにした。ただ、同紙の伝えた台湾の半導体業界筋は、中国によるレアアース輸出規制拡大の影響により、半導体製造装置大手、蘭ASMLの装置出荷が数週間遅れる恐れがあるとの見方を示した。


工商時報によると、中国によるレアアース輸出規制の内訳について台湾経済部は12日、25年4月からサマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ルテチウム(Lu)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)の7種類の中・重希土類と関連する永久磁石材料の輸出をすでに規制していたが、今回、ユウロピウム(Eu)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)の5種類の中・重希土類金属、合金及び関連製品を新たに規制に追加したと説明。また、規制対象の最終用途範囲も拡大され、14nm(ナノメートル)以下のロジック半導体、256層以上のメモリチップの開発・製造、それらの製造・テスト装置、さらに潜在的に軍事利用の可能性を持つAI(人工知能)研究・開発(R&D)も対象になったとし、今後、関連プロジェクトはすべて個別審査制になると指摘した。

台湾の半導体産業に対する影響について経済部は、「今回の規制に含まれるレアアース元素は、台湾の半導体製造工程で使用される種類とは異なるため、影響は限定的だ」と説明。現在、台湾のレアアース関連製品の主要供給源は欧米と日本だと強調した。

ただ一方で経済部は、「特定分野では影響が避けられない」とも指摘。サマリウム、テルビウム、ジスプロシウム等の永久磁石材料は高効率モーターの重要素材であり、25年4月の規制以降、調達スケジュールの遅延や価格上昇が発生しているとし、今回の規制拡大により、電気自動車(EV)やドローン製造のグローバルサプライチェーンに影響が波及する可能性があるとの認識を示した。

同紙の伝えた事情に詳しい台湾の半導体業界筋は、EUV(極端紫外線)露光装置のナノレベルでの高精度動作はブラシレスDCモーターや磁気浮上システムに依存しており、これらはいずれもレアアース永久磁石材料を必要としていると説明。また、イオン注入装置やCMP(化学機械研磨)工程でもレアアースが使用されているとした。その上で同筋は、中国の規制拡大によってASML社の装置出荷が数週間遅れる恐れがあるとした。

また、米国系のある半導体製造装置大手の幹部は、「現在、影響を精査しているが、最も懸念されるのはレアアース磁石価格の上昇だ」とした。さらに別の米国系半導体メーカー関係者は、「自社製品に中国産レアアースが含まれているか否かを確認中で、新たなライセンス制度がサプライチェーンの停滞を引き起こす可能性を懸念している」と述べた。

工商時報は、輸出管理強化を受けて、中国国内ではレアアース価格が急騰していると指摘。レアアース主要企業の北方稀土(Northern Rare Earth)と包鋼股份(Baotou Steel Rare Earth)は、25年第4四半期のレアアース精鉱価格を37.13%引き上げると発表したと報じた。5期連続の値上げで、かつ2023年第2四半期以降で最大の引き上げだとした。また、北方稀土では、25年1~9月期の純利益が前年比270%超の増加が見込まれる等、業績が急伸していると報じた。

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