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【液晶パネル】AUO、メキシコの車載増産で設備投資増額 マイクロLEDはソニー・ホンダに供給
2025-10-31 11:30:50
パネル大手、台湾AUO(友達)の彭双浪・董事長(会長)は2025年10月30日に開いた投資家向け説明会で、自動車関連の北米系顧客の需要拡大に対応するため、2025年の設備投資を16億6400万NTドル(1NTドル=約4.9円)積み増すことを明らかにした。メキシコ工場と関連施設の増設に充てるとした。また、スマートモビリティ事業群(部)と24年に買収した車載空調制御機器大手の独BHTCを統合して新設した新会社AUO Mobility Solution(AMS)に対する16億4000万NTドルの増資も決めたとした。


『中央社』『工商時報』等の台湾メディアが同日付で報じた。それによると、投資家向け説明会でAUOの彭董事長は、今後ディスプレイ事業の売上構成比(売上高に占める比率)は50%以下に下がるとし、代わってスマートモビリティと垂直領域事業の比率が大幅に拡大すると述べた。また、マイクロLED(MicroLED)を搭載したスマートウォッチの販売が好調だとした上で、今後、車載ディスプレイや大型パネルにも展開される見込みだと指摘。ソニー・ホンダモビリティ(Sony Honda Mobility)が2026年に発売する新型車にも、AUO製マイクロLEDパネルが採用される予定だと述べた。

一方、AUOの柯富仁・総経理は、スマートモビリティが既に同社の業績の成長を後押しする主要な原動力の1つになっているとし、自動車産業が電動化・自動運転化へと進む中、AUOの車載ディスプレイ品質は国際的に高く評価されていると指摘。BHTCを買収したことにより、車載HMI(ヒューマンマシンインターフェース)統合能力が向上、顧客からの信頼も上がったとし、価格競争にとどまらず、付加価値を提供できる製品ラインを確立した結果、車載ディスプレイ出荷は規模が増え続けているとした。

設備投資について彭董事長は、今回の新規追加分を加え、2025年の設備投資総額は最大280億NTドルになると指摘。重点はメキシコ工場の増設と、マイクロLED量産体制の整備に置くとした。ただ、今後は軽資産経営への転換を進めるとも述べ、2026年には設備投資額を大幅に減らす方針だと強調した。メキシコ工場の増産については、北米系顧客の中期的需要に対応する体制を整えるため、新棟を建設し、2027年の量産開始を目指すとした。

BHTCとの統合で設立したAMSについては、2026年1月に正式稼働し、外部の顧客に対する単一の窓口としてサービスを提供すると説明。ディスプレイを超えたスマートコクピットソリューションを強化し、受注拡大を狙うとした。

この他、垂直領域事業では、子会社AUO Display Plus(ADP=達擎)をプラットフォームとしてスマート医療・リテール・工場自動化・エンターテインメント等、多分野に展開すると指摘。電子ペーパー最大手の台湾E Ink(元太科技)との合弁大型電子ペーパー生産ラインが既に顧客の認証を通過し、年内の量産を予定しているとした。

さらに、AUOが32.8%を出資する産業用PC(IPC)の台湾Advantech(研華科技)が連結の対象となり、エッジコンピューティングや工場自動化市場に注力していると紹介した。また、台湾Ennostar(富采投控)を通じて、マイクロLED技術のシリコンフォトニクス及び光通信分野への応用を、AUOグループ全体で推進していると説明した。

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