レポートでDIGITIMESの伝えたメモリ業界筋は、2025年第4四半期(10〜12月)のコントラクト価格上昇は既に市場の共通認識だったが、10月末までに決まるはずの価格交渉が、サムスン電子の遅れにより停滞したと指摘。サムスンは川下の顧客に対し「販売できる在庫がない」と通告、これによりDDR5スポット価格はわずか1週間で25%上昇したと述べた。また、サムスン電子は11月中旬に契約価格を再提示する見通しだが、韓国SKハイニックス(SK Hynix)や米マイクロン(Micron)も同様にコントラクト価格の提示を停止したことで、今後は長期契約先に限定して供給する等、DRAM大手3社の販売戦略は一段と厳しくなると見られるとし、結果として、価格提示なしの状態が常態化し、急ぎの案件はスポット市場での調達を余儀なくされているとした。
DIGITIMESは、DRAMスポット価格がこの1カ月で全面的に上昇したとし、中でもDDR5 16Gbは25年9月末の7.68米ドルから15.5米ドルへと倍増、上昇率は102%に達したと指摘。DDR4も強い上昇基調を見せ、16Gbは25米ドルを突破、とりわけ供給の少ないDDR4 16Gb(1Gx16)は27米ドルに上ったとした他、DDR4 16Gb(2Gx8)も約90%上昇して25米ドル、主流のDDR4 8Gbは月間60%上昇したと紹介した。さらにDDR3 4Gbも40%値上がりし、2025年で最大の月間上昇率を記録したと伝えた。
DIGITIMESは、この状況を背景に、2025年第4四半期〜2026年上半期にかけてDDR5価格が「三段跳び」のように連続的に上昇し、四半期毎に30〜50%の値上げが続くと市場が見ていると指摘。16Gbのコントラクト価格は30米ドルに達し、史上最高値を更新する可能性があるとの観測もあるとした。
また、DRAMのみならず、フラッシュウェハー(Flash Wafer)価格も上昇基調にあると指摘。512Gb TLCは25年9月以降値上がりが続き、同10月末には5米ドル近くまで上昇。1Tb TLC/QLCも6.5〜7.2米ドルのレンジに達したとした。
先の業界筋は、「市場に流通する在庫が極めて少ない。在庫補充を望む企業も多いが、価格の高騰と供給不足により、既にある在庫で生産を維持するしかない状況だ」と指摘。DRAMメーカーがテック大手やCSPのみに優先供給するため、DDR5は一般顧客にはほぼ出回らず、メモリ市場は完全に「売り手市場」に転じているとした。
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