経済日報の伝えた台湾の業界筋は、新規ファブの建設には、着工からクリーンルーム整備、装置搬入、量産開始まで1~2年以上を要するため、現在のメモリ不足を解消するには時間がかかりすぎると指摘。その点、PSMCの銅鑼新工場は既に建屋が完成しており、設計段階からメモリ製造を主力としているため、スペース配置、配管仕様、クリーンルームの条件がいずれもメモリ量産に適していると述べた。また、同工場のウェハー生産能力は最高で単月4万~5万枚だが、現在の装置導入規模は約8000枚分にとどまっており、稼働率は2割程度に過ぎないと指摘。建屋が完成しているのに設備の実装が進んでいない、拡張の余地が大きいPSMCの同工場は、世界的なメモリ不足の中、メモリ世界大手にとって非常に魅力的な存在になっていると述べた。
その上でこの業界筋は、PSMCの銅鑼新工場にサンディスクが興味を示したのに続き、マイクロンもPSMCに提携を持ちかけ、3つの案を提示したと述べた。具体的には、(1)「純ファウンドリ」モデル。マイクロンが台湾后里工場で使用している1xnm(ナノメートル)世代の装置を、PSMC銅鑼新工場に移設し、生産したウェハー全量をマイクロンに戻す方式で、PSMCはファウンドリー収入のみを計上する。(2)「技術移転+装置移設」モデル。PSMCが再びメモリ製品メーカーとしての役割を担い、生産品を技術供与元へ供給し、製品・技術面でより深い連携を図る。(3)「分配販売」モデル。第1・第2モデルを発展させた形で、一定割合のメモリウェハーをPSMC自身が販売できる点が特徴。メモリ価格が高騰する環境下で、製品マージンを直接計上できるため、PSMCにとって最も魅力的な選択肢だという。
経済日報によると、これらのうわさについて、マイクロン台湾は21日、コメントを拒否した。一方、PSMCの広報担当は同日、「複数の大手メーカーと提携の可能性について協議しているのは事実だが、詳細は開示できない」とコメントした。
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