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【産業動向】26年Q1のMLCC業界展望 需要構造の二極化さらに進む TrendForceレポート
2026-02-11 10:55:45
調査会社TrendForceは2026年2月5日、積層セラミックコンデンサ(MLCC)についての最新レポートを公表した。レポートは、2026年を「エンボディドAI(Embodied AI=実体AI)元年」と位置付け、MLCCの用途がクラウドサーバーから、ロボット、自動運転車、スマートグラスといったエッジデバイスに広がりつつあると指摘。特にAI(人工知能)対応スマートグラスでは、薄型・軽量設計への対応から01005サイズ(0.4×0.2mm)の超小型MLCCが大量に採用されており、1台当たり150~200個が使用されるケースも多いことから、高付加価値品需要の新たな牽引役になっているとの見方を示した。


レポートでTrendForceは、26年第1四半期(1〜3月)のMLCC世界市場について、政経環境の不透明感が強まる中で、需要構造の二極化が一段と明確になっていると指摘。米国の関税政策や地政学リスクの高まりによりサプライチェーンの先行きは不透明感を増しているが、エンボディドAI関連用途の拡大を背景に、高付加価値MLCCの需要は堅調に推移しているとした。

これに対し、中低価格帯MLCCは、伝統的な閑散期に当たる他、原材料価格の高騰によるコスト増がコンシューマ向け電子機器の販売需要に影響し始めたとし、メーカーは厳しい挑戦に直面していると評した。

レポートはさらに、AIインフラ投資の継続を背景に、米エヌビディア(NVIDIA)のAIスーパーチップ「GB200・GB300」搭載サーバーラックや、アマゾン(Amazon)、グーグル(Google)等の米国系CSP(クラウドサービスプロバイダ)大手によるASIC在庫確保の動きが、高付加価値MLCCの受注を下支えしていると指摘。これにより、日系及び韓国系サプライヤー大手の高付加価値MLCC生産ラインは高稼働率を維持しており、村田製作所(Murata)、韓国サムスン電機(SAMSUNG ELECTRO-MECHANICS)、太陽誘電(Taiyo Yuden)の稼働率がいずれも80%超の水準で推移しているとした。中でも村田製作所は、先進封止(パッケージ)向けの重要材料を確保しているため、26年第1四半期の高付加価値MLCC受注量が前期比で20~25%増加する見通しだとした。

一方でレポートは、クラウド、ロボット、自動運転車、スマートグラスといった新興分野向けが旺盛な需要を見せているのに対し、スマートフォン、ノートPC(NB)、カーエレクトロニクスといった分野は総じて回復力に乏しく、コンシューマ向け比率の高い台湾系や中国系MLCCメーカーは慎重な生産・在庫運営を続けていると指摘。2025年第4四半期(10〜12月)以降、受注回復の兆しは乏しく、例年見られた春節(旧正月)前の前倒し調達需要もほぼ消失したとした。

その上でレポートは、こうした中、台湾コンパル(Compal Electronics=仁宝電脳)や台湾ペガトロン(Pegatron=和碩)といったNB ODM(Original Design Manufacturer=設計・製造の受託)大手では、部材の調達を抑制し、2026年1月のMLCC発注量は前月比で平均5~6%減少したと指摘。こうした需給環境を受け、台湾系・中国系のMLCCメーカーでは稼働率を60~70%程度に抑え、在庫日数を60~75日の水準で管理する等、減産によって価格の下振れを防ぐ姿勢を強めていると紹介した。

さらにTrendForceは、国際的な金属原材料価格の上昇が続く中、受動部品(パッシブコンポーネント)全体のコスト構造にも変化が生じていると指摘。銀や銅の使用比率が高いフェライトビーズや抵抗器では、既に15~20%程度の値上げが適用されたが、銅使用量が相対的に少なく、製造コストへの影響が限定的なMLCCは、今回の価格上昇局面に追随するのが難しく、製品価格は概ね横ばいで推移しているとした。ただ、AI向けのしわ寄せを受け、コンシューマ向けメモリやプリント基板(PCB)等の主要部材が圧迫されたことで、PCやスマホブランドは、部材不足とコスト上昇という二重の課題に直面していると指摘。端末機器の値上げを余儀なくされ、消費意欲をさらに冷え込ませる恐れがあるとの認識を示した。

TrendForceは、26年第1四半期のサプライチェーンは引き続き「AIは好調、コンシューマ向けは低迷」という構図が続くと指摘。サプライヤー各社は、高付加価値AI関連製品への投資を強化し成長のチャンスを取り込むと同時に、従来製品の在庫とコストリスクを厳格に管理することが、生き残りのための不可欠な戦略になるとの見方を示した。

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