レポートは、台湾アジア大学の25周年記念式典でTSMCの巍会長が、名誉博士号を授与された記念講演の中で、「ロボットの価値を決めるのはAI(人工知能)技術と半導体を主要な構成にする頭脳だ」と強調し、「中核技術は米国企業が握り、製造はTSMCが担う」という構図を示したと指摘。さらに魏氏が、ロボット発展における半導体の役割として、「圧力・温度・光等の環境情報を取得するためのセンサー技術」と「これらの情報を頭脳に伝え、人間の知識と組み合わせて処理する能力」の2点を挙げたと紹介し、これら「ロボットの頭脳」を支える高性能チップやAIアルゴリズムは、エヌビディアやAMD等の米国企業が主導、その約95%をTSMCが製造していることを強調したと伝えた。
一方でレポートは、GTC 2026の講演でエヌビディアのフアン氏が、モーターや希土類(レアアース)、磁性材料等、ロボット用基盤部品のサプライチェーンで中国が依然、世界トップレベルにあるとして公に称賛したと指摘。その上で、エヌビディアとTSMCという半導体大手2社のトップ2人の見解の相違は、現在のロボット分野における米中の力関係に対する議論を一層活発化させたとした。
DIGITIMESは、人型ロボットの出荷台数ベースでは、中国企業の存在感が際立つとし、中国AgiBot(智元科技)、中国Unitree(宇樹科技)、中国UBTECH(優必選)が世界の上位を占め、トップ2社でシェアの過半数を握ると指摘。これに対し、米テスラ(Tesla)、米Agility Robotics、米ボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)等の米国勢は出荷規模の面で中国勢に後れを取っていると評した。
DIGITIMESの伝えた台湾のサプライチェーンは、「出荷台数だけでは実態は見えない」と強調。Unitreeを例に挙げ、同社の製品は研究用途や二次開発向けが多く、実際に生産ラインで稼働するケースはまだ限定的だとした。その上で、人型ロボットの本格的な商用化を実現した企業は世界にまだ存在せず、多くは実証段階にとどまっていると述べた。
一方、このサプライチェーンは、米国の最大の強みは基盤モデルにあり、大規模言語モデル(LLM)、視覚言語モデル(VLM)、マルチモーダルモデル(VLA)による動作生成分野における強力なイノベーション能力や、充実した高品質なAIインフラが含まれると指摘。これらの技術は、ロボットに独立した思考、自律的な判断、知覚し行動する能力を持たせるためのカギになるとした。ただ、中国もモデル開発と応用の両面で急速に追い上げていると評した。
ハードウェア分野についてこのサプライチェーンは、中国が優位に立っていると指摘。中国企業は部品から完成品までの一貫開発・製造体制を構築しており、製品のスピード感ある改良を可能にしているとした。また、中国国内市場の激しい競争によりコストが大幅に低下、低価格での導入が進むことで製品改善のサイクルが加速している側面があるとし、新世代モデルが旧世代を大きく上回る進化を遂げる点は、中国の大きな強みだとした。
DIGITIMESは、産業全体から見れば、米国はソフトウェアと「ロボットの頭脳」で優位性を維持しているが、中国はハードウェア、開発スピード、コスト競争力で米国を上回っていると指摘。特にコストは米国の5分の1程度とされ、他国が追随するのは短期的には容易でないとの認識を示した。
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