レポートでTrendForceは、米イラン間の紛争による石油・天然ガス価格の高騰がエネルギー・輸送コストの上昇を招き、主要経済圏において26年3月の消費者物価指数(CPI)が軒並み上昇する中、エンドユーザーの消費意欲や企業の設備投資意欲が抑制される傾向にあると指摘。こうした影響は電子部品サプライチェーンにも波及しており、銀・アルミ・銅といった金属原材料価格の上昇を受け、フェライトビーズ、インダクタ、レジスター(抵抗器)等の受動部品(パシップコンポーネント)の価格は26年4月1日より引き上げられ、平均値上げ幅は10~15%に達しているとした。
さらにレポートは、メモリ、CPU、ストレージ(HDD=ハードディスクドライブ、SSD=ソリッドステートドライブ)等のコア部品の供給逼迫に加え、川上材料及び受動部品価格の上昇を背景に、米デル(Dell)や米ヒューレット・パッカード(HP)等のノートPC(NB)ブランド大手が戦略的な在庫確保を進める一方、一部の中低価格帯NBを対象に26年第3四半期(7〜9月)の生産計画を同第2四半期(4〜6月)に前倒しすることで、相対的に低いコストを確保する狙いだと指摘。この前倒し需要は、クアンタ(Quanta Computer=広達電脳)、ウィストロン(Wistron=緯創)、コンパル(Compal Electronics=仁宝電脳)といった台湾系NB ODM(Original Design Manufacturer=設計・製造の受託)大手の26年3月売上高と出荷実績にも反映されたとした。ただ、NBブランド各社は通年の生産計画を上方修正していないため、26年下半期は「伝統的な最盛期にもかかわらず需要が伸び悩む」状況に陥り、受注が減少するリスクも同時に高まっているとし、これを背景に26年通年のNB出荷需要構成比は「上半期55%、下半期45%」になるとした。
TrendForceは、MLCCの供給面について、2026年2〜4月にかけてMLCCサプライヤーの稼働率が継続的に回復したとし、中でもAI(人工知能)サーバーの強い需要を背景に、日系と韓国系はコンシューマ向け製品の生産能力をハイエンドMLCCへと積極的にシフト、これにより全体のBBレシオ(受注出荷比率)は26年3月の0.89から同4月には0.92に上昇したと紹介。村田製作所(Murata Manufacturing)、サムスン電機(SAMSUNG ELECTRO-MECHANICS)、太陽誘電(Taiyo Yuden)といった主要企業のBBレシオは、安定して1以上を維持しているとした。
価格動向については、太陽誘電が既に中国の代理店に対し、中低容量のコンシューマ向け製品と一部の車載用MLCCの価格を6~13%引き上げたとする一方、Yageo(国巨)やWalsin(華新科)の台湾系は、一部不採算製品について個別交渉を進めているものの、全面的な値上げには踏み切っていないと指摘。村田製作所とサムスン電機の大手2社は現時点で正式な価格方針を公表していないが、業界全体の価格設定の雰囲気は、様子見から試験的な値上げへと移行しつつあるとした。
今後の見通しについてTrendForceは、クラウドサービスプロバイダ(CSP)大手各社の新世代ASIC搭載サーバーが26年第3四半期(7〜9月)末から量産段階に入ると予想されることや、ハイエンドMLCCの需給が逼迫し、生産能力の配分が高付加価値製品へと傾き続けていること等を背景に、2026年下半期のハイエンドMLCCの価格は横ばいから緩やかな上昇に転じると予想した。一方、PCとNB市場では前倒し出荷による在庫調整のプレッシャーが残る他、地政学リスクや金融政策動向も、コンシューマ向けMLCC需要及び価格動向を左右する主要な不確定要因になるとの見方を示した。
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