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【産業動向】2026年メモリ世界生産額見通し、大幅に上方修正 5516億米ドルから8893億米ドルへ TrendForce
2026-06-03 12:53:46
調査会社TrendForceは2026年5月29日付レポートで、2026年のメモリ世界生産額見通しについて、同1月末に予想した5516億米ドルから、前年比296%増の8893億米ドルへと大幅に上方修正した。AI(人工知能)の発展が、大規模モデルのトレーニングから、推論を中心とする「エージェント型AI(Agentic AI)」へと移行するのに伴い、世界のメモリ需要が構造的な拡大局面に入っていることを上方修正の理由に挙げた。


レポートでTrendForceは、2027年の見通しにも言及。短期的には供給不足の解消が難しいことから、メモリ価格は引き続き上昇基調を維持するとし、これを背景に、2027年のメモリ世界生産高見通しを、これまでの8427億米ドルから、前年比44%増の1兆2800億米ドルへと、やはり大幅に引き上げた。

DRAM市場の需要動向については、エージェント型AIシステムでは推論リクエストが単発型から継続循環型へと変化しており、コンテキストウィンドウ(Context Window)の拡大に伴ってKVキャッシュ(Key-Value Cache)容量需要も比例して増加していると指摘。再計算が必要となった場合、コンピューティング(演算)コストは指数関数的に上昇するため、KVキャッシュの効率的な管理がAI推論性能の重要なカギになっているとし、これが高帯域幅メモリ(HBM)及び大容量DRAMの需要を直接的に押し上げているとした。

また、エージェント型AIのワークロードにおいて、CPUによるタスクのスケジューリング、データの事前処理、メモリ管理等の負荷が急増していることから、次世代AIサーバープラットフォームでは、CPUとGPUの構成比率が従来の約1:8から1:4、さらにはそれ以上(米エヌビディア=NVIDIAのNVL72サーバーラックでは1:2構成を採用)へと変化していると指摘。CPU搭載数の増加はサーバー向けDRAM容量の拡大につながり、調達需要とコントラクト(契約)価格の上昇を後押ししていると紹介した。

さらに、HBM生産によるウェハー消費量の増加が、汎用DRAM(conventional DRAM)の生産能力を圧迫しているとし、需要が拡大する中でDRAMメーカーのコントラクト価格に対する価格交渉力がかつてなく強まっていると指摘。価格上昇トレンドは2027年まで続くことが見込まれるとし、これら状況を背景に、2026年のDRAM世界生産額見通しを、前年比303%増の6187億米ドルに上方修正する他、2027年についても同46%増の9033億米ドルに達するとの見通しを示した。

NAND型フラッシュメモリ(NANDフラッシュ)市場については、クラウドサービスプロバイダ(CSP)世界主要9社による設備投資が26年、前年比79%増加、資本集約度も34%に達すると予想。このことは、従来の「需要連動型拡張」から、長期的な優位性を確保するための「AIインフラの大規模展開」への移行を反映するものだとした。また、AIのエージェント化により企業におけるデータ使用量が倍増、ヘビーユーザーのトークン(token)消費量は従来比4倍に達している他、生成メディアの高度化により、トークン消費量も大幅に増加しているとした。

その上でTrendForceは、膨大かつ増加し続けるメモリ需要に対し、コストの高いHBMでは大規模な展開を支えきれず、ハードディスクドライブ(HDD)もアクセス速度や消費電力の制約からAIデータセンターのリアルタイム処理ニーズに対応できないと指摘。こうした状況下、NANDフラッシュは大きな成長のチャンスを迎えているとし、ストレージクラスメモリ(SCM)搭載SSD(ソリッドステートドライブ)、高帯域幅フラッシュ(HBF)、SLC・pSLC型SSD等、高性能SSDソリューションがAI推論、学習、エージェント型ワークロード全般への浸透を加速しており、AIインフラの中核コンポーネントとして存在感を高めていると評した。NANDフラッシュ世界生産高見通しについては、26年が前年比280.7%増の2706億米ドルへと上方修正、27年には前年比40.2%増の3794億米ドルを予想した。

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