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【EMS/ODM】ノートPC大手、生産を中国回帰の動き 東南アが埋められない「9米ドル」の差
2026-08-25 12:19:08
調査会社DIGITIMES Researchは2026年8月24日付レポートで、ノートPC(NB)サプライチェーン関係者の話として、米政府の関税政策による衝撃が想定を下回ったことや、東南アジアの生産コストが依然として中国を上回っているのを背景に、一部のNBブランド大手が生産拠点を移管した東南アジアから、軸足を再び中国生産に戻し始めたと伝えた。顧客からベトナムやタイに生産ライン新設を迫られてきた台湾系NB ODM(Original Design Manufacturer=設計・製造の受託)各社も、ブランド大手の中国回帰の動向に影響を受ける可能性があるとの見方を示した。


レポートが伝えたNBサプライチェーン関係者は、米ヒューレット・パッカード(HP)、台湾エイスース(ASUS=華碩)、台湾エイサー(Acer=宏基)のNBブランド大手3社が最近になって、東南アジアへの生産移管計画を大幅に縮小し、生産の重心を中国の重慶や江蘇省昆山等に再び戻していると指摘。また、NBブランドが中国系のEMS(電子機器受託製造サービス)・ODM業者に発注する比率が高まっており、その中には中国系業者から完成品を直接調達する、いわゆる「貼牌」方式も拡大していると述べた。その上で、この生産移管の動きに伴い、台湾系ODM大手のクアンタ(Quanta Computer=広達電脳)、インベンテック(Inventec=英業達)ではタイ工場、コンパル(Compal Electronics=仁宝電脳)、ウィストロン(Wistron=緯創)ではベトナム工場のNB生産ラインが影響を受ける可能性があると語った。

このサプライチェーンは、今回の中国への生産回帰の背景には、複数の「プッシュ要因(押し出す力)」と「プル要因(引き寄せる力)」があると分析。最大のプッシュ要因は、トランプ米大統領が打ち出した「相互関税」が米連邦最高裁で違憲判決を受けたことだとし、米政府は代替措置を講じると表明したものの、その実質的な影響力は相互関税に遠く及ばず、生産移管の緊急性が大きく低下したためだと述べた。

さらに、関税リスクの低下に伴い、NBブランド各社が中国と東南アジアの生産コストを再評価した結果、東南アジアにおけるNB 1台あたりの生産コストは中国より平均9米ドル高いことが分かったと指摘。一般的なNBの粗利益率は3〜10%に過ぎず、例えば300米ドルの低価格モデルで粗利益率が3%の場合、利益はちょうど9米ドルで、換言すれば、東南アジアで製造すると利益が完全に吹き飛ぶか、赤字で出荷することになるとした。

この他、中国の地方政府が補助金の返還を迫っていることも、企業を中国へ引き戻す「プル要因」になっていると指摘。生産移管で税収減に直面した地方政府が、企業に対して生産規模の回復を求めており、要求に応じない場合、かつて誘致に当たって支給した補助金の返還を迫ることも、企業にとっては大きなプレッシャーになっているとした。

一方でレポートは、一連の生産移管と中国回帰の動きの中にあって、中国レノボ(Lenovo=聯想)、米デル(Dell)、米アップル(Apple)の3社は方針を大きく変えていないと指摘。うち、レノボについては、当初から生産分散に対して慎重な姿勢をとっていたため、今回の回帰の影響も比較的軽微だとした。

デルについては、米政府関連の受注比率が高いため、中国への大規模な生産回帰を見送っているとした。

アップルについては、高価格帯市場を中心としている上、近年はサプライチェーンの生産自動化を積極的に推進していることから、コストから受ける圧力が比較的低いと指摘。さらに、アップルがNB「MacBook」の生産を中国上海からベトナムに移管した最大の理由は、単一の生産拠点によるサプライチェーン断絶のリスクがコロナで露呈したのを受けたもので、他社の判断とは背景が異なるとした。

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