中国のInP産業について科創板日報は、産業チェーン全体を見ると、「資源は強いが、製造は弱い」という構造的な特徴が浮かび上がると指摘。この認識の下、中国のInPサプライチェーンを構成するYunnan Tin(雲南錫業)、SinoPhorus(興福電子)、Yuanjie(源傑科技)、SHIJIA(仕佳光子)、Everbright(長光華芯)、Sanan(三安光電)といった上場企業を取材をし、中国国内のサプライチェーンの各段階における真の障壁(ボトルネック)の解明を試みたとした。
科創板日報は仏Yole Groupをはじめとする調査会社の統計を引用し、世界のInP基板市場では目下、住友電気工業(Sumitomo Electric)、JX金属(JX Nippon Mining & Metals)、米AXTの3社で9割以上のシェアを占めており、中国企業は世界供給量の約1割に過ぎないと紹介した。さらにYoleが、InP基板世界需要は2026年に260万〜300万枚に急増するとした一方、有効な生産能力は75万枚前後にとどまるため、需給ギャップは70%を超えると見込んでいると伝えた。
その上で同紙は、中国国内では高速光チップの国産化が確実に加速しているが、その重要材料であるInP基板については依然、海外調達に対する依存度が高いと指摘。中国のレアアース金属業界筋は同紙に対し、中国は一次インジウムの生産量で世界シェアの7割以上を占めており、Yunnan TinやGHNM(華錫有色)等の企業が大量の4N〜5N(純度99.99〜99.999%)の工業用インジウムを安定供給しているが、InP単結晶の結晶成長(長晶)のコア原料、半導体グレードに該当する「7N(純度99.99999%)以上の超高純度インジウムは、中国国内では短期的にみて有効な量産能力が十分に整っているとは言い難いと述べた。
同筋はまた、一般的な精製インジウムと半導体グレードの高純度インジウムについて、純度を示す「9」が数個違うだけのように見えるだろうが、背後にある製造プロセスはまったく異なると指摘。その上で、中国国内で高純度インジウムの精製分野の発展が遅れている理由は、「採算性」の問題だとした。具体的には、2インチ基板1枚あたりに必要な高純度インジウムはわずか1〜2グラムで、インジウム材料全体の需要に7Nクラス以上が占める割合は約10%に過ぎないと指摘。価格面では、一般的な精製インジウムが5000元(1元=約23.6円)台であるのに対し、6N以上の高純度インジウムは約6000元で、付加価値の差はそれほど大きくないとし、これが川上企業にとって極めて技術的ハードルの高いニッチ市場へ参入するインセンティブを削ぐ結果になっているとした。
ただ一方で科創板日報は、2025年下期以降、AIコンピューティング需要の急拡大が産業チェーン全体の連携を促しており、InP関連材料・部材の国産代替も加速していると指摘。同紙の伝えた中国系InPサプライチェーン企業のある幹部は、「既存の増産プロジェクトが順次稼働し、高純度インジウムの精製技術が継続的に進展するとともに、川下顧客による認証が段階的に完了すれば、中国国内のInP産業チェーンは今後2~3年の間に、実質的なブレークスルーを迎える可能性がある」との見方を示したと報じている。
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