これらのはんだ付けの特徴のうち、1)量産に向いている2)修正・手直しが容易であるということに関しては、非常によく利用されています。しかし、3)セルフアライメント効果に関してはまだ充分に利用されているとは言い難い面があります。逆に言いますと、はんだ付けでは、これらのはんだ付けの特徴を十二分に生かして使用することが、はんだ付けを使い切るということになります。ここでは、紙面の都合もあることから、このセルフアライメント効果に絞って述べてみたいと思います。
<セルフアライメント効果>
図1.2にはんだの表面張力によるセルフアライメント効果を示します。ペーストはんだが
図1.2 溶融はんだの表面張力にセルフアライメント効果

溶融すると、溶融したはんだに赤い矢印で示す表面張力が働きます。この表面張力は青い矢印で示す水平方向の成分と黒い矢印で示す垂直方向の成分に分けることができます。青い矢印で示す成分が部品を基板のパッドの方向に移動させる力、即ちセルフアライメント効果になります。また、黒い矢印の力は部品を保持し、部品をパッドに引き付ける力になります。この結果、ペーストはんだが溶融し、はんだの表面張力が働くと、部品は基板のパッドに引き付けられながら(部品は沈み込みながら)、パッドの方に引き寄せられます。これがアライメント効果です。最終的には、溶融はんだの形状が変化し、青い矢印で示す水平方向の力が左右でバランスした時点で停止します。

このようなセルフアライメント効果を効率よく発揮させるには、基本的には次に示す注意が必要になります。

(1)部品固定用の接着剤は使用しない。     

 セルフアライメント効果を期待するには、部品を固定しないことが重要です。なお、部品固定用の接着剤の上に部品を搭載する場合も、接着剤の表面張力によるセルフアライメント効果を考えると、うまく部品の位置決めができます。

(2)濡れ性の良いペーストはんだを選定すること。      

セルフアライメント効果ははんだの表面張力、即ちはんだの濡れ力が基本です。従って、濡れ性の良いペーストはんだを選定することが必要になります。

(3)リフロー炉が大気炉ではセルフアライメント効果は有効に働かない場合がある。     

 セルフアライメント効果の源は溶融はんだの表面張力です。そのため、溶融はんだの表面が酸化されにくい窒素リフロー炉では、より効果的にセルフアライメントが期待できます。特に、0402以下の微小チップ部品対しては、大気炉ではセルフアライメント効果はあまり起こりませんが、窒素リフロー炉では期待できます。(ただし、酸素濃度にも依存しますので注意が必要です。)

(4)パッドの設計と部品の搭載精度の関係を良く理解すること。      

ここでは、紙面の関係上、詳しく述べられませんが、セルフアライメント効果を適正に発揮させるには、セルフアライメントが発生する前の基板のパッドと部品のリードの位置関係が重要になります。特に回転方向にずれて搭載される場合は、パッド設計が重要になります。セルフアライメント効果を考えたパッド設計は、それだけでも一つの技術的なテーマとなります。ここでは、申し訳ありませんが、パッド設計が重要であるということに留めさせて頂きます。  

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