Intelは、「5月から山寨Netbookを閉め出す」という戦略について、勿論正式な表明は行っていない。しかし、同社は今年新たに超薄型省電力ノートPCプラットフォーム「CULV」を市場戦略の第一に据え、Netbook市場との区別を明確化する動きを強めている。こうした点から判断すれば、利益をもたらす伝統的なノートPCへの重視は当然の流れだろう。
Intelはこれ以前、小規模メーカーが容易に製品選択を出来るよう、各種のN270プロセッサを「山寨Netbook」メーカー向けに提示していた。しかし、関係者によると、間もなく6月に本格的にCULVが市場投入されることで、同社は数百社におよぶ小規模「山寨Netbook」メーカーからの受注を、5月に入ってからは受け付けていないという。更に、Atomプロセッサを大量に在庫している中国、台湾メーカーから、Atomプロセッサが「山寨Netbook」メーカーに流れることを厳しく管理していると指摘されている。
業界関係者によると、Intelは昨年以来、Atomの販促戦略を大きく方向修正しているという。これは、中国三大移動通信キャリア(中国電信/CDMA2000 EV-DO・中国移動/TD-SCDMA・中国聯通/WCDMA)が提供し始めた3Gデータサービス用Netbook需要が急激に立ち上がってきたことが大きく関係している。各通信キャリアは、入札によってNetbookの選定を行っており、Intelはこうして選定された大手ブランドメーカーとの協力関係をより重視し始めている。
更に、Netbook需要の大幅な高まりは伝統的なノートPCの市場を脅かしており、比較的利益率の低いAtomプロセッサが「山寨Netbook」市場に流れ込むことは同社の利益獲得に直接の影響をもたらすことになる。
現在一部の「山寨Netbook」メーカーは、台湾のVIA Technologiesが提供するC7-MプロセッサとARMプラットフォームの採用を検討し始めている。また、VIAは「山寨Netbook」関連サプライヤーによるアライアンスプログラム「
Global Mobility Bazaar(GMB)」を立ち上げ、小規模メーカーでも比較的容易に市場に参入出来るプラットフォーム作りを行っている。同社の試みは、「山寨携帯電話」市場で成功を収めた、同じく台湾チップメーカー「MediaTek」による手法と同様である。
VIAの他、大手チップメーカーFreescaleも中国、台湾NetbookメーカーとARMベースでの協力を進めることを表明しており、更にQualcommのSnapdragon、NVIDIAのTegraプラットフォームなども今後の選択肢となる可能性があるだろう。
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